PRP療法、APS療法による再生医療を開始しました。
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第40条第1項の規定に則り、特定細胞加工物製造届出を行い、細胞培養加工施設としての認可を受け、「再生医療等提供計画」に関する届出を近畿厚生局に提出し、2020年1月に受理されました。
これを受け令和二年三月より当院で第二種再生医療技術(APS療法、PRP療法)を開始しました。
PRP療法
PRP(Platelet-Rich Plasma、多血小板血漿:たけっしょうばんけっしょう)とは、血小板が多量に含まれている血漿のことです。PRPは患者さん自身の血液から血小板を抽出して作製されます。
血小板には主に「血液を固めるはたらき」と「組織の修復を促す成長因子を出すはたらき」があります。
血小板を多量に含んでいるPRPを傷んでいる部分に注入することで、自分自身がもともと持っている修復力を引き出すことができる治療がPRP療法です。
これまでは、形成外科領域や歯科口腔外科において臨床応用されてきましたが、近年になってスポーツ医学の領域においても欧米を中心に臨床応用が進んできてます。さまざまなスポーツ障害からの早期復帰がこれによって可能になると期待されています。
適応疾患としては靭帯損傷、アキレス腱炎やテニス肘、足底腱膜炎、肉離れ等の関節外の靭帯や腱の炎症及び損傷等です。
これまでに、プロスポーツ選手から学生スポーツ、中高年のスポーツ愛好家まで、幅広い対象の方にこの治療は行われています。
非常に副作用の少ない治療ですので、数ある保存加療のうちの一つの選択肢として、特に既存の治療法への反応が乏しい方への実施が望ましいと思われます。
APS療法
APSとは自己タンパク質溶液、Autologous Protein Solutionのことで、患者さんのご自身の血液から炎症を抑える良いタンパク質と、軟骨の良好な状態を維持する成長因子を、高濃度に抽出したものです。
APSは血液からPRPをまず分離し、さらに特別な加工を加えることで、変形性膝関節症の治療に有効と言われる成分を高濃度に含むため、次世代PRPと言われます。
APS療法はヨーロッパではすでに治療法として承認されていて、アメリカでも有効性の確認が進んでいます。自己血液を使うために安全性も高く、体に負担の少ない治療法です。
適応疾患としては変形性膝関節症を代表とする各種関節の変形性関節症です。
治療の安全性
PRP及びAPS療法は自己の血液を使用します。このためアレルギー反応や拒絶反応等はほとんどないと考えられています。さらに、PRPやAPSの精製にはいろいろな機種が存在しますが、当院では、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に医療機器として製造販売承認された機材を使用して行っております。
ただし一般的な関節内注射に伴う感染等のリスクは存在します。
また予期しない合併症の可能性の存在は否定はできません。
PRP, APS治療の手順
PRP及びAPS治療の手順は以下のようになります。
- STEP1
- 55mlの血液を採取する。
- STEP2
- 特殊な技術で処理して、血小板を濃縮したPRPを抽出する。
※APSの場合、これをさらに濃縮し、APSを抽出します。
痛みのある場所(関節など)にエコー(超音波画像)ガイド下にAPSやPRPを注射する。
治療にかかる費用 | |
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PRP | 100,000円(税別) |
APS | 300,000円(税別) |